〜もしもカイがギアだったら〜







「SIN<罪>の名の由来、お教えしましょうか?」



至って柔らかな口調で、だが少しも笑わずにカイはそう言った。
そして、剥ぐように右目の眼帯を外す。

現われたのはギアの紋章が刻み込まれた瞳だった。

目の前で立ち竦むかつての上官達は、それを見た途端、あからさまに顔を引き攣らせた。
それは不安が緊張に変わる一瞬だ。

秘密裏に抹殺を謀り、殺したはずの英雄が無事な姿を現しただけでなく
ギアとして蘇ったと分かれば、その反応も無理はない。

カイは以前から警察機構の上層部から危険視されていた。
真っ直ぐで潔癖な考え方を持ち、元聖騎士団長であるカイの存在は
利己的な上層部には煙たい以外の何者でもない。
故に、カイの暗殺が遂行された。

まさか消しにかかるとは流石に思わなかっただけに、カイも油断していた。
法力では癒しきれない致命的なダメージを受けてしまい、瀕死状態だったのが、
危ういところで一命を取り留めた。


異形の力を借りて。


「私はまだ真実を見ていない。……それが、こんな姿でも生き永らえる理由です」

その時に駆け付けた紅い男の、生か死かの問いに答えた言葉を
カイは独白のように呟いた。

目の前の、恐怖に硬直する男達を見渡し、カイは笑う。

凍てつく、ブルー・ローズの微笑みで。



「さァ……。罪<SIN>の雷<いかずち>を受けてもらいましょうか」












お礼絵と言いつつ、自分の趣味全開ですみません;
SINコスプレのカイで書いた話が意外に気に入っていて、
続きを書いてしまいました…。

アホだコイツ、と思って流してくださると有り難いです(冷汗)。



追記>>>>>
数人の方に嬉しい反応をしていただき、現在正式バージョンを執筆中です。
有難うございましたvv