いつも逃げていた。
父から、テリーから、自分自身から。
身勝手な父が悪いのだと罵り、血が悪いのだと嘆いて、まるで悲劇のヒロインのように振る舞い、同情を集めて薄汚く甘え続けていた。
本当は知っていたのに。
父は強さを求めて意志を貫き通したこと、テリーは復讐とその愚かさを抱えて生き続けていること。
不幸だと言いながら、自分が誰よりも幸福であること。
すべて気付かないふりをして閉じこもっていただけ。いつか連れ出してくれるヒーローが現れるはずだと他人に頼っていただけ。
見せ掛けの翼に憧れるばかりで、自分の足で歩こうともしなかった。
だから、今は行こうと思う。
もう自由な翼がほしいなどとは言わない。血を吐きながら這いずり回ってでも自分の手で真実を掴み取って、不自由な地べたを自分の足で踏み締める。
焦がれた空は、誰の頭上でも平等に青いのだから。
……今更気付いた馬鹿な息子でごめん、テリー。前を歩いてるアンタに追い付けるように、もう少しマシになって帰ってくるよ。
それまでサヨウナラだ。
See you againg.


++++++++++++


実は私、ロックは格好悪い次世代ヒーローだと思ってます。素直なのか臆病なのか紙一重の状態なのに意気がってばかりの、主人公らしからぬ駄目な主人公。
でも、それは同時に私達自身ではないのだろうかと思います。誰だって甘えた心はあるし、苦しいときは自分が一番不幸だとか思ったりもする。生きるか死ぬかの状況で生き延びたなら自信をもって生きれるかもしれないけれど、平穏の中で育ってしまうと自分がこれでいいのかどうか分からなくなってしまう。そんな、戦後に生まれた私達の弱さの象徴なのではないかと思います。